Phoenix, V-Ray の無料機能で海を作成する

Phoenix, V-Ray の無料機能で海を作成する 3ds Max

 

突然ですが、多くの方は3dsMax 版 Chaosの Phoenixや V-Ray、Coronaの全ての機能は「ライセンスが無いと利用できない」と考えているのではないでしょうか。

しかし実は、PhoenixやV-Ray、Chaos Coronaの一部の機能はライセンスが無くても利用できます。
PhoenixやV-Ray、Corona には多くの便利ツールが同梱されているので、V-Ray, Coronaユーザーの皆様は、ライセンスが無くてもこれらを3ds Maxにインストールしておく事をオススメします。


このチュートリアルを行うには、最初に V-Ray、Phoenix を3dsMaxインストールしてください。ライセンスは不要です。(評価版のインストーラーでも構いません。取得方法はこちら

今回は、Phoenix と V-Ray の無料機能を使って「海」(や水面の波)を作ってみたいと思います。
レンダリング自体は 3dsMax対応の全てのレンダラーで可能です。 (スキャンライン、Arnold、V-Ray、Chaos Corona、Redshiftなど)

手順は簡単です:

まず、シーンにカメラを作成してください。ビューポートの1つをカメラビューにします。

3dsMaxのジオメトリ作成 > VRayカテゴリ > VRayVolumeGrid を選択して、ビューポートで1クリックします。(VRayVolumeGrid の使用にV-Rayライセンスは不要)
ファイルを開くダイアログが出ますが、キャンセルを押して閉じます。(ファイルの読み込みは不要です。)

ビューポートにVRayVolumeGridのギズモが表示されますので選択します。

VRayVolumeGridの Renderingロールアウトで Modeを “Oceam Mesh”にセットします。以下のようなメッセージが出ますので “Yes” をクリックしておきます。(V-Rayでレンダリングする場合のみ意味があります)

次に、同じくRenderingロールアウトの Ocean カテゴリで “Pure Ocean”のチェックを有効にします。

次に、VRayVolumeGridの Previewロールアウトで “Show Mesh”にチェックを入れます。
ビューポートにVRayVolumeGridで生成された、平面メッシュが表示されます。

トップビューを観察すると。カメラの見える範囲にだけメッシュが生成されているのが解るでしょうか。VRayVolumeGridの Ocean メッシュはカメラから見える範囲にのみメッシュを作成するので、地平線まで続くメッシュを最小限のポリゴンで生成できます。

カメラを移動して「再度カメラビューをアクティブにしてから」アニメーションのタイムラインを動かしてみましょう。再度カメラに合わせたOceanメッシュが生成されるのがご理解いただけると思います。(パースペクティブやカメラビューでのみメッシュは更新されます)

ディスプレイスメントを適用する

ここまでは、単なる地平線まで続くメッシュですが、こちらにディスプレイスメントマップを適用して「海の波」を作成しましょう。

Phoenix をインストールすると、PhoenixFD OceanTexマップが利用できます。実はこのPhoenixFD OceanTexマップはライセンス不要で利用できます。使わない手はないですね!

VRayVolumeGridの Renderingロールアウト>Displacementを有効にして、MapにPhoenixFD OceanTexマップをセットします。タイムラインを動かしてみてください。これだけで「海」が完成です!しかもアニメーションします。

PhoenixFD OceanTexマップの Wind Speed パラメーターを上下する事で波の強さ(荒れた海、穏やかな海)をコントロールできます。
タイムラインを再生しながらリアルタムに調整できるので、わかりやすいですね。

Velocity Coherenceを調整すると、平行波も作れます。(1.0に近い程平行波、0.0に近い程なし)

以上です!

後は、お使いのレンダラーで、VRayVolumeGridに水のマテリアルを割り当てて、好みのライティングで照明してレンダリングしてみてください。

単純なメッシュなので、レンダリング自体は 3dsMax対応の全てのレンダラーで可能です。 (スキャンライン、Arnold、V-Ray、Chaos Corona、Redshiftなど)

例えば、Chaos Coronaで、CoronaSun/Skyと雲を使えば、こんな夕焼けも朝飯前ですね。

例えば、海面と交差する斜めの平面を作成し、ノイズで砂浜を作って、コースティクスを有効にすると、こんな夏の風景も簡単にできます。(V-Rayを使用。人のモデルはChaos Cosmosから)

ぜひお試しください。

メモ:上のサンプルはレンダリングを切り抜いています。実際のレンダリング直接画像は以下になります。画面端に切り欠きが見えるのが解るでしょうか。これは、VRayVolumeGridはカメラの見える範囲ギリギリにしかOceanメッシュを生成しない為に生じます。これはVRayVolumeGridの仕様です。
回避するには、多少余分な範囲をレンダリングして、レンダリング後に切り抜きます。

なお、有償(V-Ray PremiumもしくはChaos Corona Premium)のPhoenixのグリッド(VRayVolumeGridの上位機能)には、Off-Screen Margin パラメーターがあり、カメラの視野ギリギリではなく多少余裕を持って、カメラ視野外にもメッシュを生成できます。

この記事を書いた人
Yamauchi

株式会社オークで技術サポートやってます。
好きなソフトは 3dsMax、ZBrush、V-Ray、Chaos Corona です。
趣味は3Dプリンターで自作ガレージキットの制作です。
CG歴だけは長いので、なんでも聞いてください!

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