V-Ray 7 Update 5 公開 — これまで以上に使いやすく、パワフルに
AI Assistant、AI による 3D アセット生成と画像検索、外部 AI エージェント向けの MCP サーバーなど、AI を活用したワークフローを搭載。ネイティブの V-Ray Spotlight、Cylindrical Light、Volume Shader、AMD GPU 対応に加え、Vantage・Anima・Veras・Arena もアップデートされました。
2026 年 11 月 5 日、V-Ray 7 Update 5 が公開されました。
V-Ray 7 Update 5 は、AI をビジュアライゼーションのワークフローにさらに深く取り込み、手作業を減らしながら検討・制作・自動化を進められるようにします。アセットを生成し、AI によるガイドを受け、MCP を介して AI エージェントを V-Ray のワークフローにつなげば、面倒な作業を自動化できます。そのあいだも、狙いどおりの結果を得るのに必要な精度とコントロールはそのまま保てます。
今回のリリースの内容は次のとおりです。
- AI を活用した新しいワークフロー
- よりリアルなライティングとボリューメトリクス
- 改善されたマテリアルワークフロー
- Vantage のアップデートによるリアルタイムレンダリング
- Anima による群衆と交通のシミュレーション
- Veras による AI デザイン検討
- Arena によるバーチャルプロダクション
AI を活用した新しいワークフロー
AI Assistant
V-Ray のインターフェイスに AI Assistant [AI アシスタント] が組み込まれました。作業中にガイドを示し、ライティングのアイデア出しを手伝い、シーンから離れることなく適切なアセットを見つけてくれます。
Sky Match [スカイマッチ] を使うと、シーンのライティングと雰囲気を参照画像に合わせられます。必要なものを伝えて、Chaos Cosmos からアセットを推薦してもらうこともできます。初めて使う人にとっては V-Ray をこれまでになく覚えやすくなり、経験豊富なユーザーにとってはシーンのセットアップが速くなって手作業が減るため、クリエイティブな判断により多くの時間を使えます。V-Ray for SketchUp、Rhino、3ds Max で利用できます。

AI アセット生成と画像ベースの検索
Chaos Cosmos に、アセットをより速く見つけて作成できる 2 つの AI 機能が加わりました。画像ベースの検索では、参照画像をアップロードすると、見た目の似たモデルやマテリアルをライブラリから探せます。適切なキーワードを推測する必要はありません。必要なアセットが存在しない場合は、AI 3D モデル生成で、1 枚の 2D 参照画像から使える 3D モデルを Cosmos 内で直接作れます。
2 つを組み合わせれば、既にあるものは見つけ、ないものは生成するという形で、アセット探しの両面をカバーできます。V-Ray for SketchUp、Rhino、3ds Max で利用できます。

外部 AI エージェント向けの MCP
V-Ray と Cosmos、Anima 向けの新しい MCP サーバーにより、Claude や ChatGPT などの対応 AI エージェントが V-Ray のシーンを直接扱えるようになりました。標準化されたインターフェイスを通じて、エージェントはシーンデータの確認、レンダー設定の調整、Cosmos アセットの検索と配置、より複雑なワークフローの自動化を行えます。
エージェントは、ライト、マテリアル、カメラ、レンダー設定や環境設定にわたる V-Ray 固有の情報にアクセスし、それをもとにユーザーの代わりに操作します。既存のワークフローの中で AI の支援を受けられるので、アイデアから完成レンダーまでの手作業の手順が減ります。
V-Ray MCP は SketchUp と Rhino で利用でき、V-Ray for 3ds Max ではサードパーティの MCP をサポートしています。Vantage 向けの MCP サーバーも近日公開予定です。

よりリアルなライティングとボリューメトリクス
ネイティブの V-Ray Spotlight
V-Ray for 3ds Max に新しく搭載されたネイティブの V-Ray Spotlight [V-Ray スポットライト] で、ライティングをより自由に演出できます。正確な指向性のライティング効果を作り、ボリューメトリックな環境の中に光を正確に投射して、よりリアルで空気感のある結果が得られます。
V-Ray for SketchUp と Rhino の V-Ray Spotlight も改良され、新たに統合された barn doors [バーンドア] で光の形や向きをより精密に調整できるようになりました。光線とそのカットオフを物理的に正確にコントロールして、より洗練されたライティング効果を作り、狙いどおりの表現に仕上げられます。

Cylinder Light
新しい Cylindrical Light [円柱ライト] が加わりました。ネオンサインや線状の建築アクセント照明などの器具に合わせて作られたライトです。真のパラメトリックな円柱から光を放射するので、長さと半径を正確に設定して実在の照明器具に合わせられます。カスタムのメッシュライトを使ったり、矩形ライトを積み重ねたりする手間をかけずに、物理的に正確な減衰、リアルなスペキュラーハイライト、きれいな影のぼけが得られます。

Volume Shader(VDB ローダー)と TyFlow Inferno のサポート
V-Ray のボリューメトリクスのツールセットが拡張され、ボリュームを扱う新しいツールと、TyFlow Inferno のシミュレーションのネイティブレンダリングが加わりました。この 2 つにより、ボリューメトリック効果の試行と反復を、より高いコントロールと少ない手作業で、すばやく進められます。
新しい V-Ray Volume Object [V-Ray ボリュームオブジェクト] と、それに組み合わせる新しい Volume Shader [ボリュームシェーダー] が加わりました。1 つのシェーダーを複数のオブジェクトに適用して、まとめてコントロールできます。密度、色、エミッション(発光)の直感的な設定で、ボリューメトリック効果を簡単に微調整し、狙いどおりの見た目に仕上げられます。特化した 2 つの新しいボリュームテクスチャで、表現の幅もさらに広がります。
さらに、煙、炎、爆発などの効果を含む TyFlow Inferno のボリューメトリックシミュレーションを、直接レンダリングできるようになりました。シミュレーションの変更がそのままレンダーに反映されるので、VDB ファイルを書き出して読み込む必要はありません。
改善されたマテリアルワークフロー
Node Editor と UI の改善
V-Ray for SketchUp と Rhino の Node Material Editor [ノードマテリアルエディター] で、マテリアルの作成と調整がより直感的になりました。エディター内でマテリアルをプレビューし、サムネイルを拡大表示できるので、シーン全体をレンダリングしなくても変更を確認できます。
ノードの複製、既存の接続線へのノードのドロップ、数クリックでのノード間へのテクスチャの挿入もできます。ディスプレイスメントをマテリアルに直接接続して、表面のディテールをより細かくコントロールすることも可能です。これらのアップデートで、さまざまなマテリアル設定を試しやすくなり、作業を中断せずに結果を仕上げられます。

V-Ray のその他のアップデート
AMD GPU レンダリング
HIP プラットフォームを通じて V-Ray GPU が AMD のグラフィックスカードに対応し、ハードウェア選びの自由度が広がりました。競争力のある 16 GB VRAM の選択肢や、アウトオブコアレンダリングでの業界トップクラスのパフォーマンスも得られます。
スペイン語版 V-Ray for SketchUp
V-Ray for SketchUp がスペイン語に対応し、スペイン語圏のデザイナーやスタジオにとってより使いやすくなりました。

Vantage によるリアルタイムレンダリング
Vantage との互換性の向上
V-Ray と Vantage の間のワークフローが、よりスムーズにつながるようになりました。SketchUp と Rhino でのビューポートレンダリングの改善、使いやすい草と水のプリセット、Vantage でのクラスターペイントのサポートが含まれます。シーンの作成、調整、確認を、リアルタイムでより手軽に、一貫して行えます。
Vantage での Veras と Anima の統合
Vantage で、AI による即座のアイデア出しと高度な群衆シミュレーションを使い、リアルタイムの環境に生命を吹き込めます。Anima のプロジェクトを Vantage に直接読み込めば、読み込み時間の最適化と高速なビューポート応答を保ったまま、3D シーンにリアルな群衆を配置できます。Veras では、生成 AI によるリスタイルを実行し、スタイルのバリエーションをビューポートからワンクリックで直接検討できるため、クリエイティブな検討の流れを止めません。

Vantage での Gaussian Splat のリライティング
キャプチャした環境を動的にリライティングして、現実と CG を融合できます。読み込んだ Gaussian Splat アセットのライティングを簡単に調整し、シーンのデジタル光源や昼夜の環境に自然に反応させられます。建築モデルを周辺環境の中に配置し、ライティングを統一したフォトリアルなスキャン環境に溶け込ませるのが、これまでになく簡単になります。

リアルタイムでのマテリアルのリアリズムとディテールの拡張
リアルタイムのプレゼンテーションで、驚くほどの物理的な正確さと視覚的な奥行きを実現できます。dispersion(分散)、anisotropy(異方性)、thin film(薄膜)、sheen(シーン)をネイティブにサポートし、Vantage のシーンでも V-Ray と同等のマテリアルを再現します。屈折するガラスの中で光が分かれる様子、ヘアライン加工の金属の上を光が走る様子、布の柔らかな繊維や玉虫色の表面が光をとらえる様子を、リアルに表現できます。

Vantage のアップデートは、サポートするすべてのホストプラットフォームで利用できます。
Anima による群衆と交通のシミュレーション
Anima の人物・群衆向け AI パスファインディング
Anima の新しい AI パスファインディングで、キャラクターが 3D シーンの中を自律的に賢く移動できるようになりました。Anima がモデルの表面を自動的に読み取り、傾斜、障害物、群衆の流れを考慮した賢いナビゲーションルートを見つけます。手動のセットアップは必要ありません。1 人の歩行者から数千人の群衆まで、自然でリアルな動きで表現できます。

Anima の人物向け Waypoint ツール
数クリックで環境に生命を吹き込めます。新しい Waypoint [ウェイポイント] ツールを使うと、シーンの中で人物や群衆を簡単に誘導できます。要所にいくつかウェイポイントを置けば、あとは Anima の AI パスファインディングが、キャラクターの自然でリアルな動きを生成します。空間の動線を評価し、シーンに生命を吹き込む最速の方法です。

240 体の新しいアニメーションキャラクター
240 体の新しい 4D アニメーションキャラクターモデルで、シーンを一新できます。Anima は好みのモデルのバリエーションを自動的に作成するので、ビジュアルの自然さが保たれ、常に豊富な選択肢を手元に用意できます。これらの高品質なアセットは Chaos のレンダリングツールからすぐに利用でき、ビジュアライゼーションのワークフローにスムーズに組み込めます。
Veras による AI デザイン検討
Veras のノードベース UI
Veras 5.3 では、ノードをつないで独自のワークフローを組み立てる新しいタブ NODES [ノード] が加わりました。ワークフローでは、画像や動画の生成と編集、その分析、パラメトリックな 3D ジオメトリの作成、結果の Revit、Rhino、SketchUp へのベイクができます。
ワークフローはエージェントに組み立ててもらうこともできます。どの設定もシンプルなコントロールにでき、すべてのワークフローは自動的にライブラリに保存されます。Veras の NODES タブは、現在 Veras のスタンドアロンアプリでのみ利用できます。

Veras の動画編集・生成向け新モデル
Veras の高度な AI モデルで、新たなクリエイティブの可能性を探れます。Veo 3.1、Grok Imagine、Gemini Omni により、ネイティブオーディオ付きで最大 4K の動画を生成し、既存のクリップで動きをガイドし、ショットを延長できます。
OpenAI の画像モデルも更新され、静止画をより高い精度とコントロールで生成・調整・仕上げてから、動画にして動きを与えられます。

Veras のシーン作成向け新エージェント
Veras の新しい Agent mode [エージェントモード] は、参照素材を 3D モデルに変えます。GPT-6 Astra か Claude Opus 5.5 を選び、effort level [エフォートレベル] を設定して、エージェントがどこまで念入りに作業するかをコントロールします。レンダリング画像、写真、スケッチから、ホストアプリのビューや 3D ビューアーのスナップショットまで、最大 12 点の参照を追加できます。複数のビューを組み合わせるほど、エージェントが使える情報が増えます。
エージェントは、壁、床、屋根、ドア、窓、カメラ、家具から、曲面壁、スイープソリッド、断面屋根などの複雑な形状まで、実際の建築要素を使ってモデルを段階的に作ります。作業結果を参照と照らし合わせ、食い違いがあればその場で修正しながら進めます。Agent mode は、現在 Veras のスタンドアロンアプリでのみ利用できます。
Arena によるバーチャルプロダクション
Chaos Arena は、V-Ray のシーンを LED ウォールに映すための最速のルートです。プロダクション品質の V-Ray シーンを LED スクリーンに直接移して、実写撮影に使えます。アセットの変換、ライティングの損失、マテリアルの作り直しは必要ありません。
撮影現場では、シェーダーをライブで調整し、ローカルのデカール補正で表面の色を整え、リアルタイムの被写界深度とレンズトラッキングで物理セットとデジタル環境を融合できます。スタジオは、ライフスタイルを打ち出した上質なマーケティング映像を 1 回の撮影で収録でき、クライアントは撮影現場でクリエイティブの判断をライブで確認・承認できます。
V-Ray 7 Update 5 を使ってみよう
AI は画像の作り方を変えつつあります。リアルタイムとフォトリアルなレンダリングの差は縮まり続け、経済的な圧力から、スタジオはより少ないリソースでより多くの成果を求められています。それでもプロの仕事を支えるのは、変わらない基本です。完全なクリエイティブコントロール、一貫した品質、そしてコンセプトから最終フレームまで頼れるレンダラーです。
V-Ray 7 Update 5 は、その基本の上に、プロダクションチームに必要な信頼性、スケーラビリティ、柔軟性を積み重ね、あらゆる規模のスタジオや企業に向けたエンタープライズレベルのセキュリティも備えています。


