V-Ray for 3dsMax V-Ray for Maya

V-Ray 3.0 スニークピーク

2013年6月27-28日にオランダのユトレヒトで開催された EUE2013 (エンドユーザーイベント2013)にて、ChaosGroupのの共同設立者でV-Ray開発の総責任者 Vladimir “Vlado” Koylazov 氏が開発中の「V-Ray 3.0」についてトークセッションを行いました。 その様子を Torgeir Holm氏(vray.infoのオーナーでV-Rayヘビーユーザー)がレポートしています。 以下に簡単な日本語訳を掲載します。 ※なおこちらに掲載しているのは開発中の内容です。リリース版で提供されるとは限りませんのでその点は予めご了承ください。

Brute force rendering (アンバイアス・レンダリング)のスピード改善 V-Rayの開発が始まった10年以上前はBrute force rendering (全ピクセルでGIをサンプルする総当りパストレース)は遅すぎてとても実用的ではありませんでした。従ってイラディアンスマップやライトキャッシュのような、重要な場所だけサンプルして照明を近似するバイアス方式が開発され進化してきました。(バイアス方式は非常に高速かつクリーンですが、シーンに応じた最適なサンプル設定を行わないとアーティファクトやフリッカーを発生する副作用があります)バイアス形式に特化したV-Rayは、その結果総当りパストーレス機能が殆ど最適化されていませんでした。 しかしながら最近のハードウェア発達により、総当りパストーレス機能も実務で使える選択肢に入ってきました。ChaosGroupではこの状況を踏まえ、現在V-Rayの内部的なパストレースコードを最適化しています。またintel社のEmbree raycasterもサポートに加えました。(※Embree raycasterはIntel社CPUでのみ利用できます。) パストレースコードの最適化はまだ途中の段階ですが、ここにお見せするサンプルでも著しい速度改善を見る事ができます。下記教室シーンの例では V-Ray 2.4で 15分44秒かかった物が、3.0のベータ(with Embree)では 5分55秒でした。おそそ2.66倍高速になっている事が判ります。

Rayの最大明度 (Max ray intensity) 総当りパストーレスにはピクセル状の非常に明るいドットが発生しやすい問題があります。このアーティファクトを短時間のサンプルで取り除くのは非常に難しく、その明るさが反射もしくは屈折コーティクスから来ているのか判断するのが非常に困難でした。V-Ray 3.0にはこのパストレースにおける非常に明るいドット問題を劇的に縮小する"max ray intensity"パラメーターを追加しました。このオプションは Color mappingにおける"clamp output"オプションと似ていますがイメージのサンプルではなく、トレースするRay単位で適用されます。このパラメーターはセカンダリRayに適用されるのでプライマリRayの明るさは維持されます。この機能を使うと物理的に正しい照明とは言えなくなりますが、クリーンなイメージをより早く生成できる可能性があります。

プログレッシブ・レンダリング V-Ray 3.0ではイメージサンプラーに「プログレッシブ・レンダリング」モードを備えています。このモードはV-Rayプロダクションレンダラーでプログレッシブ(累進的)にイメージを更新するサンプラーです。(V-Ray RTと似ていますが、V-Rayプロダクションレンダラーで行える点が重要です。) 通常のバケットサンプリングと比較してのアドバンテージでは、非常に早くイメージの全体像が把握できる点です。またGIやグロッシーの品質をシンプルプルなパラメーター(サンプリングレート)でコントロールできます。プログレッシブモードはディストリビュートレンダリングをサポートしています。 (オークメモ:V-Ray 3.0では来ませんが将来的に V-RayRTはこのモードに置き換わる可能性があります。) ヘアレンダリング 最近V-Rayは非常に多くのヘアー&ファーを使用したキャラクターのレンダリングに使用されており、V-Ray 3.0ではヘア&ファーレンダリングの最適化が行われています。 既にご存知の通り V-Ray 2.0で搭載されたVRayHairMtlは、3dsMaxのHair&Fur、Ornatrix, HairFarmをサポートし、MayaではMaya Hair/nHair, Shave & Haircut, Yeti をサポートしています。 V-Ray 3.0のHairシェーダーは半透過Hair(ソフトで自然な毛に見せるのに必要)のシェーディングに最適化されており、メモリ消費量、ヘアへのレイトレーシングが劇的に最適化されています。会場では旧バージョンで20分弱掛かったシーンがV-Ray 3.0で 2分で完了した例が示されました。

Vismat マテリアル 3dsMaxとMayaなど異なるホストアプリケーション間でV-Rayの質感(マテリアル)そのまま転送したいリクエストが数多くあります。V-Ray 3.0 ではV-Ray RhinoやV-Ray SketchUpで使われている vismat 形式を改良しネイティブにサポートします。これにより異なるプラットホーム間でVRayマテリアルのやり取りが出来るようになります。 なお、ChaosGroupのWEBサイトでは大量の vismat ライブラリーを公開しており、こちらも3dsMaxやMayaで利用できるようになるでしょう。 V-Ray 3.0でサポートされる新しい Vismat フォーマットは XMLベースで記述され、一般的に使用される殆どのマテリアルを定義する事ができます。 なお仕様としてプラットホーム側のマテリアルやプロシージャルテクスチャーはVismatに含める事ができませんが、V-Rayはコアプラグインとして既に数多くのプロシージャルテクスチャーライブラリーを持っており、これに翻訳する事で大抵のプロシージャルテクスチャーもやり取りできるように設計されています。(要望があれば似たプロシージャルテクスチャーをChaosGroupでインプリメントもしています。) 新しい vismat 形式を使う事で Maya、3dsMax間のマテリアル変換が非常に簡単になるでしょう。なおV-Ray 3.0から呼び出す事ができる Vismatマテリアルエディターも用意しています。(これはV-RayRhino,SketchUpのマテリアルエディタそのものです。) Vismatマテリアルエディターは Python と QTで記述されており、Windows、Linux、Mac OSXで共通して利用する事ができます。Vismatマテリアルエディタはスタンドアロンのエディターとしても利用可能です。(ChaosGroupではノードベースのVismatエディタも構想していますが、V-Ray3.0リリースには含まれないでしょう。)

Vertex merging コースティクスはカメラからのレイトレーシングでは非常に難しい事象の1つです。V-Ray 3.0のBPTracer(Bidirectional Path Tracer)にはコースティクスをより効率よく計算できるVertex mergingアルゴリズムが追加されています。 このアルゴリズムはバイアスなソリューションですが、より短時間で品質の高いコースティクスを得る事ができます。またフォトンマップよりも使い方が簡単です。 会場では ガラスの箱に入ったティーポットがコースティクスのみで照明される例を示しました。 vertex merging無しの場合、ガラスを通り抜ける照明がうまくサンプルできず非常に暗い結果で、vertex merging有りの場合非常に明るく照明されています。

V-Ray RT GPU V-Ray 3.0のV-Ray RT GPU (プロダクションレンダーモード)ではレンダーエレメントの出力をサポートし、単なるプレビューツールからプロダクションレンダリングに利用できるレンダラーとなっています。エレメントも全てでありませんが殆どのレンダーエレメントの出力をサポートしています。 なお V-Ray RT GPUのレンダーエレメントでは、V-Rayプロダクションレンダーではサポートしていない完全なライト・セレクトエレメントを出力する事ができます。(ライト毎に分離したGI、直接光エレメント)

Mayaビューポートレンダラー V-Ray 3.0のV-Ray RTの注目の新機能として V-Ray RTを Mayaのビューポートレンダラーとして使う事ができます。なおビューポートを大きく表示してもV-Ray RTの解像度は低くする(半分の解像度等)オプションが利用できます。 残念ながら 3dsMaxはサードパーティ製レンダラーをビューポートレンダラーとして実装する事が許可されていません。(これはautodesk社側の問題なので同様の機能を望むV-Ray3dsMaxユーザーはautodesk社に開放するよう要望をだしてください!ChaosGroupは実装する準備はできています。) MayaのビューポートモードはディストリビュートレンダリングやCPU/GPUモード等 RT全ての機能を利用する事ができます。 http://www.youtube.com/watch?v=M_KgbPCAENI

その他にも追加機能が・・・ ・ディストリビュートレンダリングにテクスチャー等のシーンアセットも一緒に纏めて分配するオプションを追加。(テクスチャーが子機から参照できないエラーを無くす事ができます。) ・Render Subset機能 ・Trace sets機能 ・Opens Shading Language (OSL) ・VRayMetaballs (isosurfaces) ※なおBercon Metaballsではありません。ChaosGroupがゼロからインプリメントしたメタボール機能です。 ・Deep images および OpenEXR 2.0 のサポート なおV-Ray 3.0のリリース時期は現在の所未定です。(弊社の予想では2014年初頭くらい?)