試行を形に

コンセプチュアル・アートは流動的でダイナミックな工程です。常にアーティストの中でデザインは変化します。素早くざまざまな"形"を検証する為に、代表的なコンセプチュアル・アーティストはZBrushを使っています。単純な球体も、スカルプトブラシを使って素早く生き物の頭の形に成型する事ができます。高い解像度のディテールを維持しながらも、形を低い解像度で全体的な調整する事もできます。さらにプロジェクション機能を使って別のメッシュから欲しいディテールをコピーする事もできます。アーティストは複数のメッシュから数百ものパターンを作る事ができるのです。

ディテールを再利用できる事は、コンセプトのバージョン毎にメッシュをゼロから再構築する必要が無い事を意味します。これは、必要なキャラクターを成形する為にいつでも呼び出せる、ベースメッシュのライブラリーを作る事ができる事を意味します。時間が勝負のコンセプトワークを助けてくれます。

ZBrushは、スケッチブックのように、まだ何も決まっていない状態からアイデアを書き始める事ができるようにデザインされています。ZBrush自体が創作ツールに素早くアクセスできる仕事机のような物です。PaintStopプラグインを使えば、ナチュラルな画材を使用して素早くラフスケッチを描く事ができます。また、ZSketchを使えば2次元のスケッチを描くのと同じくらい簡単に3Dのスケッチを描く事ができます。

ZSketchを使えばキャラクターの骨格をほんの少しストロークを描くだけで作る事ができ、様々なプロポーションやポーズを試行する事ができます。形が気に入ったら直ぐに彫刻モードに入って細かな形を刻み形の試行を続ける事ができます。ZBrushには百に近いプリセットのブラシが付属しています。気に入ったブラシが無ければ、カスタムのブラシを作成し自分用のプリセットとして保存する事もできます。

ZBrushでは複雑な凹凸形状を持つ生物に限らず、緩やかでフラットな表面を持つメカニカルなオブジェクトも制作する事ができます。ZBrushではオリジナル形状を壊さない非破壊的な作業が可能です。あなたの思いつくままに手を加え得る事ができます。そこに技術的な制約は何も感じる事はないでしょう。

ZBrush アーティスト: Oliver Maqsud
ZBrush アーティスト: Scott Patton - Avatar
ZBCスレッド参照

プロダクションでのコンセプトワーク

例えばZBrushを使ったコンセプト担当者はこのような仕事をする事ができます。
朝のミーティングを済ませたら、QuickSketchやPaintStopで簡単なアイデアをスケッチします。スケッチを元にZSphere IIやZSketchの"クレイ"で大まかなシェイプを作成します。シェイプが出来たらスカルプトモードに入ってより具体的な形状を作る事ができます。3D Layer等を使って少し異なるバージョンを用意する事もできるでしょう。いくつかの候補ができたら、ディレクターのチェックを受けます。デジタルなので異なるバージョンの気に入った部分だけを組み合わせるのも自由自在です。ディレクターの要求にフレキシブルに対応できます。

最初のコンセプトが認証されたなら、さらに詳細をモデリングし、ペイントを行います。ZBrushで作業中はモデルのメッシュ構造を気にする必要はありません。スカルプトが完成した後でいくらでもトポロジーは変更する事ができます。社内に3Dプリンターがあれば、Decimation Masterを使ってポリゴンを削減し、3D Print ExporterでSTLやVRMLに出力して3Dプリント出力する事ができます。

その日の終わりに、出来上がった詳細なコンセプトモデルをディレクターに渡す事ができます。ここでさらにディレクターが変更を要求しても狼狽える事はありません。アーティストはZBrushが柔軟に対応できる事を知っている筈です!
ZBrushを使えば一般的なCGの制約に捕らわれる事はありません。アーティストは真のクリエイティブワークに集中する事ができます。アイデアが浮かんだら即座に形にする事ができる、それがZBrushです。


"基本的に全てのクリーチャーのコンセプトはJames Hawkins氏が担当しています。しかし急な事情で誰かが手伝う事もあります。私は"Rockworm"のコンセプトワークを行いました。ZSphereで基本形状を作成し、サブディビジョンしてスカルプトを始めました。本当に簡単です。形が出来たらレンダリングしてPhotoshopに読み込み、簡単に色付けとテクスチャーを描きました"

Chris Perna, アートディレクター - Epic Games

"[..]スコット・パットンは、ZBrushで獣の頭部を彫刻していました。"Viperwolfは3Dの物体としてそこにあったのです" とRosengrant氏はいいます。ZBrushで3Dモデルを作成しながら、監督(ジェームズ・キャメロン)の様々な意見が試されました。2~3時間程監督とのセッションが行われていたと思います。"

Cinefex 120 - "The Avatar"の記事中 by Jody Duncan

ZBrush アーティスト: Scott Patton - Avatar
ZBCスレッド参照

3D layersやモーフターゲットを使えば、スカルプトしたディテールを一端無効にしたり有効にしたり、解像度を上げたり下げたりして、思いつくままに形を変更する事ができます。



気ままにコンセプトを描く

コンセプトモデルのシェイプが出来たら、ポリペイントやマテリアルを使って質感や色を検討する事ができます。ZBrushのポリペイント機能はモデルにペイントする為に、予め面倒なUVマップを準備する必要はありません。現実のようにそこにあるモデルに直接ペイントする事ができます。
また、モデルにどのような質感を与えたいでしょうか?メタリック調、それとも半透明な皮膚でしょうか、それともプラスチック? ZBrushには本当にリアルな質感プリセットが豊富に用意されており希望の質感を即座にオブジェクトに適用する事ができます。また欲しい質感があれば、それを現実のデジタルカメラで撮影してその画像から質感を取り出す事も可能です。ZBrushの質感表示の多くはリアルタイムに描画されます。

 
 
ZBrush アーティスト: Scott Patton - インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
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